Industnatural(インダストナチュラル)

「インダストリアル」と「ナチュラル」のハイブリッドライフを提案&実践中

DIY・オフグリッド・日産リーフのバッテリー&ハイブリッドインバーターのトラブル事例

<環境>

リーフのバッテリーを組み直した蓄電池を、ハイブリッドインバーターに接続しています。

充電はソーラーパネルから。日常の使用で蓄電池が容量不足になることはほとんどありませんが、太陽が弱い日が2日も続くと、夜型のライフスタイルでは電欠状態になります。

 

<電欠の場合>

リーフのバッテリーに蓄えられた電気が不足すると、ハイブリッドインバーターは自動的かつ瞬時に商用電源に切り替えてくれます。このとき、必要であれば蓄電池の充電も商用電源から自動的に行ってくれるように設定してあります。(通常は太陽待ちになります)

 

<トラブル事例>

商用電源に切り替わったはずなのに・・・停電、そして、充電不良

 

<トラブル解消方法>

その1、ハイブリッドインバーターの設定変更(2分で完了)

その2、安全ブレーカーの定格アップ

その3、自動切替開閉機の導入

 

<トラブルの詳細>

ここからが本題です。同じようなトラブルを経験して、やっぱりハイブリッドインバーターとか、リチウムの再使用は難しい・・・ と感じられた人には朗報。

 

いつもなら、日中はソーラー、夜はバッテリー由来の電力を使って生活ができるようになるのがハイブリッドインバーターを使ったシステムの良いところです。(商用電源のないところでも、完全オフグリッドは可能です。ただし使用する電気の量を賄えるだけのパネルと蓄電容量が必要です)

 

商用電源も繋いでいる場合には、もしもの電欠の際に各種家電に影響を与えることもなく自動かつ瞬時に商用電源に繋いでくれる機能が有効です。ハイブリッドインバーターにはこの機能が備わっているために、停電の不安から解放されることになりますし、パネルや蓄電池の容量を増やしたり、節電の方法を検討したりしながら徐々に完全オフグリッドを目指すというような使い方もできます。

 

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今回のトラブル事例は、その商用電源が接続されているにも関わらず真夜中に停電し、そしてバッテリーの充電もできない状態になったこと。(即座のトラブル解消法は、ハイブリッドインバーターを回路から切り離して、全てを商用電源に切り替えることですし、それが自動的にできるスイッチングブレーカーも(ハイブリッドインバーターとは無関係に)市販されています)

 

停電したというこの事例においては、商用電源に切り替えてくれる装置がハイブリッドインバーターだけだったことを意味しますし、そのハイブリッドインバーターに関するトラブルをストレートに疑うことになります。「ああ、壊れてしまったか・・」と。そして、マニュアル操作で商用電源に切り替えることで当座をしのぎつつ、原因を探ることになりました。

 

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原因を探る作業は非常に簡単で、家電でいうところの、「コンセントは接続されてますか?」のようなところから順番に本体に向かえば良いです。具体的には、1、敷地までの電線は切れていないか? 2、配電盤の一番最初の、商用電源のブレーカーは落ちていないか? 3、その次の、配電用の各ブレーカーはオフになっていないか? 4、焦げたり溶けたり燃えたりしたところはないか? 

 

原因は3番にあり、配電用のスイッチ(安全ブレーカー)がオフになっていました。ハイブリッドインバーターに電気を送るためだけに用意した回路のスイッチでした。つまり、ハイブリッドインバーターまでの道のりの途中でショートしたり、過電流が流れたりしたことを意味します。安全ブレーカーはパナソニック製の、一般家庭の配電盤の中にあり、とても広く使用されているタイプで、20Aでした。これが落ちたということは、ハイブリッドインバーターが20Aを超えるような大きな電流を求めたか、それとも長時間20A付近の電流を求めて強く発熱したことを意味します。

 

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・・・それもそのはず。ここで使用されているハイブリッドインバーターは100Vで5000Wの出力ができるタイプです。蓄電池が電欠になったときに、もしも5000Wとは言わずとも2000Wを使っていれば、ロスを無視しても20Aが流れています。

 

安全ブレーカーは、電子レンジと電気ケトルを同時に使用したらその回路だけをダウンさせるような、ごく一般的な保護装置です。そのような安全ブレーカーの定格電流値は20A。

つまり、電欠のときに、2000Wも使えば20Aの安全ブレーカーが落ちるのは当然というわけでした。

 

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<トラブル対応の詳細>

・まずは、20A以下になるようにします。方法は、ハイブリッドインバーターが商用電源に求める電流について設定変更をすること。たったこれだけですので2分足らずで完了。(そして電欠が心配されるようなときにはあまり家電を使わないように気をつける)

 

・しかしこれだけでは、通過する電気の流れを弱くしただけであって、当然のこととしてバッテリーの電欠時に2000W以上を使うことができるようにはなりません。商用電源が約20Aまでは使用できるために停電はしないとしても、家の回路全体としては電欠状態を脱することはできないわけで、使用できる家電がある瞬間から制限されてしまうというわけです。真夜中、眠っている間に洗濯機やパン焼き器などを予約タイマーで動かしていたりすると、途中で止まっているというようなことになり、不便です。

 

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・この不便を解消するためには・・・

1、回路を複数にわけて、1回路20A以下とする。この方法ではハイブリッドインバーターも複数必要になりますのでよほど余裕がある人かヘビーユーザー向け?

 

2、ハイブリッドインバーターに接続する商用電源の定格電流値をアップする。一般的な形状の安全ブレーカーには30Aのタイプがあります。

 

3、自動切替開閉機を導入する。20Aというような定格のものはたくさんありますがハイブリッドインバーターがすでにこの機能を持っているわけで、20Aのものを導入しても役不足。導入するのは60A、100Aというような定格で、電源の全量を一括して自動切り替えできるスイッチ。(2021年8月発表・60Aモデル。河村電機産業)非常時のバックアップ電源切替用として提案されているものです。ただし、切り替えにかかる時間が瞬時というわけではないため、使う家電によっては問題となると思います。

 

4、非常用電源を回路に組み込む。電欠状態になる時間が、たとえば深夜3時から翌朝の7時までというようにおよそ予見できるような使用環境であれば、どうしても電欠を回避したい一部の家電について、電欠期間分をまかなう非常用電源を接続しておくことで対応できます。(例えば、冷蔵庫とパソコン環境だけを電欠から守るというような使い方を想定)・・・この方法であれば、通常は蓄電池から。電欠時にトータル20A以下なら商用電源から。それでも電欠したら非常用電源(別のバッテリーバンク)を使うという三段構えになり、災害時にも安心のシステムになります。ただし、システムが複雑で価格も高くなります。

 

5、商用電源切替機を導入する。これはあまり一般的でない方法かもしれません。いつもはオフグリッド、電欠時には商用電源へという切り替えができる装置で、定格は20A(推奨15Aまで)結局のところ20Aの壁は突破できませんが、その20Aの源流は同じでも経路が異なるため、これを一台導入することで電欠時でも理論上最大40Aまで使うことができるようになります。・・・導入方法はこれがもっともシンプルで、配電盤を触りません。まず、この装置から伸びている2つのプラグを、ハイブリッドインバーター由来のコンセントと、商用電源由来のコンセントの2つを並列して接続します。そしてこの装置に使いたい家電(冷蔵庫、高出力モーター、電熱器はNG)のプラグを差し込みます。たったこれだけ。電欠しそうなときには装置が商用電源に切り替えてくれますし、復旧時は自動的にハイブリッドインバーター由来の電源に切り替えてくれます。(この逆の使い方もできます)