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DIY・リーフバッテリーでポータブル電源をつくる(その4)大きな落とし穴とその対策

リーフのバッテリーに限らず、リチウムイオン電池を扱う限り絶対に避けなければならないのは次の2つ。1、低温(マイナス3度以下)での充電 2、過充電 (3、過放電も避けなければなりませんが、損害に至るだけで危険ではないのでここでは考慮しないことにします)

 

1、については、自宅ではあらかじめ対策できると思いますけれど、キャンピングカーなどでは気をつけたほうが良いかもしれません。急な環境変化で冷え込んで、充電しようとして大きなトラブルに。。。というのは、どうやらボーイング社でさえ経験しているようです。

 

2、については、ポータブル電源を製作する人なら、最大限に警戒して、完璧な対策をしなければなりません。マキタやダイソンやルンバその他の互換バッテリーが爆発炎上する事例はおそらく過充電が原因。なぜ過充電になるのかと言えば、リチウムイオン電池がもうお腹いっぱいと言っているのに、まだまだいけるでしょというシステムになっているからです。いや、そこはBMSが防ぐはずだと思われるかもしれませんが、そのBMSが故障したり、熱に負けて何かがショートしたらそこでゲームオーバー。互換バッテリーの中にもBMSは入っているのです。

 

さて、リーフバッテリーモジュール6つを使った24Vシステムの場合。

実際には、これは22.5Vシステムです。そこが落とし穴。

3.75Vのセルを6ユニット組み合わせているわけですから22.5V。これを24Vと言うのは、チャージコントローラーやインバーターや、車載冷蔵庫のような周辺機器が24V仕様だから。

 

BMSも、24V仕様。24Vが適正で、過充電と判断してストップするのは4.15Vの6倍で24.9V。

リーフのバッテリーセルは4.2V程度がマックスとのことですから、特段の設定変更をしなくても、BMSがデフォルトできちんと動いてくれればギリギリのところで止めてくれます。(しかしおそらく、このレベルではバッテリーに好ましくない負担がかかっていると思われます)

 

一方、チャージコントローラーは、リチウムで24Vですよと認識させると、自動的にそれに合わせたスペックで稼働してくれますが、そのお仕着せのスペックによれば(例えばRENOGY のRover-40Aの場合)、過充電と判断するのは32V。BMSとの間にかなりの差があります。もしもBMSが機能せず、CCの言うままに充電を続ければ、完全に過充電になります。

 

(逆に低電圧については、BMSによれば16.2Vで、CCによれば24Vをもって低電圧とみなします。このシステムに限らず、結局のところ、過充電の保護も低電圧の保護もBMSに委ねることになるわけですが、低電圧については、BMSよりもずっと前にCCが警告し続け、CCが22Vでシャットダウンさせますし、もしもインバーターを動かしていれば(CCをバイパスしてバッテリー直結)、こちらもBMSが仕切るよりも前にインバーターが自らダウンするという構図。つまり、低電圧の心配はあまりしなくて良い仕組みになっていると言えます)

 

32Vまで充電を続けようとすれば、モジュールが大きく膨らんで、煙と熱を出す可能性が十分にあります。場合によってはもっとひどい結果に至るかもしれません。過充電の心配はしすぎるくらいでちょうど良いと思います。CCがもっともっと充電できると思っているときに、BMSがバッテリーを守る構図、つまり、BMS任せの構図、言い換えれば、BMSとCCの意見が合わない構図を回避しなければなりません。

 

対策の方法は簡単です。

CCの設定変更です。

 

1、まず、それができないCCを選んではいけません。

2、次に、CCにリチウム24Vと登録したまま、お仕着せの設定で安心してはいけません。

3、手動で任意の設定をしなければなりません。

4、設定の数値がわかる程度の研究を自分でしなければなりません。

5、1から4をクリアできれば、CCと、BMSの両方が同じような数値でバッテリーを守る構図になります。万一どちらかが故障していても、過充電に起因する危険を回避できます。過放電にならないようにすることもできます。こうして、バッテリーに優しく、長持ちさせられるような設定にもできます。

 

 

 

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その他・メモ・

メモ1・BMSの設定変更によっても、過充電、過放電のリスクを軽減できます。

メモ2・モジュールの組み方(使う数)を変更するのもひとつの方法ですが、12Vあるいは24Vの場合、どのように組んでも、CCとBMSの両方をデフォルトのまま使うと、過充電あるいは過放電のリスクがあると考えたほうが良いです。

メモ3・クルマの普通の鉛バッテリー用の充電器をそのまま使って放置すると、過充電になる可能性が高いです。

メモ4・そもそも、CCにはリチウム用のモードがあるのに、BMSも適切なものを使っているのに、なぜこのように面倒なことになるのか?・・・答えは簡単。リーフのバッテリーを使うから。リーフのバッテリーは、2パックがひとつのモジュールになっているので2の倍数でしか組めません。3.75Vを7つ組めば充放電ともにあまり気を使わなくても良いところ、6つを組んで、なんとかしようとするから。8つでは電圧が高く、6つでは電圧が低いので充放電の数値設定に気を使う必要が出てくるというわけです。

メモ5・もしも、どうしてもリーフのバッテリーで24Vのシステムをうまく組みたいと思う場合は、4の倍数のモジュール&BMSを使うほうが良いです。(使用できるモジュールの数が許すなら)満充電で約32Vというのは周辺機器が許せる最大電圧に近いので、その点には注意が必要ですが、CCもBMSもそこまでの充電をよしとしないため、過充電の危険を回避しやすくなります。一方、過放電には注意が必要です。CCもBMSも、デフォルトでシャットダウンする値のままで運用すると、バッテリーにはかなり厳しい環境になると思います。

メモ6・もしも、リーフのバッテリーにとって最適な環境で使いたいと思う場合は、7の倍数が良いです。初代リーフの場合は48個のモジュールが入っています。これに1を加えて49にする人がいるのはこのためです。(日本では消防法注意)・・・僕の場合は6を引いて、42を本命のシステムとしつつ、残りの6を使ってポータブル電源を製作しています。

メモ7・もしも、7の倍数で最適な24Vシステムを組もうとすると、組めません。上記のメモ4に戻ります。

メモ8・もしも、6個のモジュールをうまく活用したいと願う場合は、次のパターンを検討します。A:1つ買い足して7にして、48Vシステムにする。B:6つを使って、22.5Vで低電圧気味の24Vシステムを組む。C:4つを使って高電圧気味の24Vシステムを組み、残りの2つを使って高電圧気味の12Vシステムを組む。