Industnatural(インダストナチュラル)

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エアストリーム・壁の中の浸水から床を救え!

エアストリームの雨漏りを確実にゼロにすることは不可能と判断しています。

 

もちろん、できる限りのコーキングや水の流れを読みながらの対策はしますけれど。それでも。では、入ってしまった水とどう付き合うのか? このような発想がないのがアメリカ品質? というよりはむしろ、構造的な強度や重量、製造のしやすさなど、トータルで考えたときに浸水の問題を後回しにしたのか、それとも雨の少ないカリフォルニアの気候が設計思想に影響しているのかわかりませんけれど、とにかくもしもの浸水に対する備えがまったくできていません。それがエアストリームの「仕様」です。しかし、フロアが腐っていくことや、室内がカビ臭くなっていくことを諦めるのはよくない。

 

エアストリームの雨漏りやカビ臭さに悩み、リノベーションを決意する人に、「床を救え」と提言します!

 

<床を救う方法>

コーキングできそうなところはしっかりやり直すとして、それでもどこからともなく染み込んでくる水が、壁の中を伝わって思わぬところに滴るという、丸いエアストリーム特有の経路不明浸水はどうしようもないと、まずは割り切ります。

 

では、その経路不明浸水の終着点はどこかといえば、木製の床です。さらにその先は床下のアルミパネルと鉄のフレームで、それから地面です。この大問題に決定的な解決策をぶつけておきましょう!

 

天井と壁はぜんぶアルミで、内部にはグラスウールが詰め込んであるのですが、多少の浸水なら通っていくだけでグラスウールをビショビショにしてしまうようなことはありませんし、アルミを腐らせるようなこともまずありません。しかし木製の床と、鉄のフレームが入っている床下はダメです。ここに水が来ないようにすることは、仕様のままでは無理です。

なぜかというと、外壁と内壁の間の空洞部分に、まるで手を差し出すように床の木材が伸びているからです。つまり、床板が(実質的なフロア面積よりも少し大きくて)そのまま壁の中に到達している。浸水した水が壁の中を通って床のレベルにやってくるとき、そこにはしっかりと床の端が待ち構えていて、そこでたっぷりと水を吸い込む仕様なのです。当然、木製の床はいつか腐ります。腐る前にはカビを呼ぶでしょうし、周囲の床や家具類を広範囲に湿らせるでしょうし、床下に滴る水もあるでしょう。床と床下の両方を救おうとすると、ものすごく手間がかかるので、床を救うをことに集中します。床を救うとは、床の材料に水が当たらないようにするということです。

 

リノベーションをしたいわけではない、ほどに新しいあるいはコンディションの良いエアストリームなら悩むところですが、本気で床を救うには、床の張替えをする必要があります。(床全体の張り替えはしたくないという場合は、少なくとも、壁際2センチはぐるっとカットして、壁内部のフロア材を撤去する必要があります)

 

その1、床を張り替えるときに、従来の床よりもひと回り小さな床にして、壁との間に隙間をあける。これで壁内を通ってきた水は木製の床に触れずに床下に落下します。床下はアルミ板と鉄のフレームが接しているので、アルミの腐食を招きますが、木製のフロアが腐ってしまうことと比較すれば大きな問題ではありません。

 

その2、床を張り替えるときに、アルミ板もしくは鉄板にしてしまう。木だからダメ。金属ならずっとマシという考え方です。この方法なら、コーキングを施すことで床下に到達する水をかなり減らすことができるかもしれません。

 

その3、防水シートを挟み込む。床を張り替えるときに、壁の下部に幅10センチほどのシートを貼っておき、そのシートを押し込む格好で床を貼ります。この方法では、床が壁の下に潜り込む構造は同じですが水はシートに遮られて壁の中に溜まりそうになって、その後、隙間を見つけてフロア下に流れます。従来と同じ大きさの床を貼ることができ、そのため全体の強度低下を回避できます。

 

その4、1と3の組み合わせ。床を二枚の板で仕上げることとして、1枚目を従来の床よりも小さくしておき、防水シートで水の流れをつくってからその上にもう一枚床を張ります。オリジナルの床板は20ミリの厚さがあります。12ミリの板プラス8ミリの板などの組み合わせでオリジナルに近い高さに収まります。

 

ただし・・・ これらの方法では、床板を「全体の強度に貢献する部材」としてみなすことができなくなるというデメリットがあります。エアストリームは華奢な鉄製のフレームに、一枚ものの大きな板を乗せていて、その上にアルミのボディを多数のネジで固定することによって全体としての強度を出しています。そこから20ミリもの厚さのある板を壁際だけとは言っても無くしてしまうということは、ボディーが沈み込む、固定ネジに計算外の力が加わる、隙間に風や虫が入る・・・ というような新たな問題を生み出します。この問題を解決するためには、オリジナルの壁の下端部分に、新規の一回り小さな床にしっかり乗るような格好でアルミのアングルを取り付けたり、もともと木製の床板が挟み込まれていた部分に樹脂の板を挟み込む、虫除けネットを挟み込む・・・ というような工夫と一手間が必要です。

 

 

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床板が壁内部に食い込む設計。このため壁内の浸水を床材が受け止めてしまう。