Industnatural(インダストナチュラル)

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移動式コンテナハウスを製作するプロジェクト アメリカ製の車載トレーラーの修繕作業

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アメリカのトレーラー、特に車台部分の製造現場に、日本の鉄工所を知る職人が入れば、その荒っぽさに驚愕することでしょう。

 

雑です。すごく。

 

溶接の強度とか、精度のような点については、アメリカならではのコンプライアンス規制があって、クリアしていなければ大問題でしょうから、きっとクリアしていて、その結果、安全なのだと信じるしかありません。が、ずいぶん前にロケットの技術者に聞いた話によれば、日本よりもアメリカのほうが安全係数が低い。つまり、余裕を持たせる幅が小さい。つまり、ギリギリの設計になっている。ギリギリといっても、F1マシンのようなギリギリではなくて、こんなもんでしょ! というギリギリ。甘い。

 

いや、そんなはずはない。見るからにゴツいではないかという人には、そのロケットの技術者の話を聞かせたい。日本の技術者が1の強さが求められる場合に10の設計をしている間に、アメリカは3とか5で設計するのだから敵わない ーとのこと。

 

たぶん、見た目がゴツいから強いということではなくて、いろいろな計算をしてみれば、ゴツい一方で甘いのでしょう。計算してみなければわからないような要素はさておき、僕が今回購入した車載用トレーラーには大幅な手直しが必要と判断しました。

 

僕はそこまで神経質でも潔癖でもないつもりですが、物の良し悪しを左右するのはあとひと息の、ほんのひと手間と思っています。それはユーザーへの思いやりだったり、職人のこだわりであったりするのでしょうけれど、そういうあとひと息がない場合、ものづくりの精度は落ちるし、サービスの質も悪くなります。今回は、次のような項目をなんとかしなければと思うのです。

 

1、バリとりがいまいち、というか、まるでなってない。

(どこで怪我をするかわからないレベル。グラインダーを使ってバリ取り、面取り、スパッタとりをしなければ・・・)

 

2、塗装が甘い。

アメリカの塗装は水性・・・ すごく薄いんです。このままでは、きっとすぐに錆だらけになります)

 

3、そもそも、サビとりが甘い。

(鉄骨材料をサビなして仕入れて、保管して、加工して・・・というのは難しいことですが、いくらなんでも人様のものとなる車両なのだから、仕上げの塗装をする前にもうすこしなんとかしようよと、言いたい)

 

4、予備検査の、車検対応がその場しのぎ。

(これは日本に入ってからの仕事ですが、こういう車両の予備検査は基本的にその場しのぎです。最も安い材料で、簡単な道具と材料で、検査官に何か言われたらその場で対応するというような調子そのまま。長年の使用に耐えるようにしようという発想がないのかなと思います。例えば、端子の処理が甘い、ハンダ付けがイマイチ、露出すべきでないものが露出しているなど)

 

5、ナンバープレートをぶつけて曲げるのは時間の問題。

(最後部の低い位置しか、取り付けられる場所がないので仕方ないですが、なんとかして対策しておかないと、ほんとうにすぐにボロボロ、ぐにゃぐにゃにしてしまいそう)

 

6、フロアセンター部分から地面が見える。

(こればかりは仕様です。軽量化のために、車両を積載するためには必要でない部分を解放してあるだけです。車両用としては、オイル交換や整備がしやすいというメリットもあるといえばある。しかし塞いでおけば、車両以外の荷物を積載しやすくなりますので、取り外せるような板をつくって載せることにします)

 

7、重要なラベルを保護したい。

(スペックや製造番号、国土交通省の登録プレートなどが露出していて、経年劣化を待つような状態。見えなくなっては困るものであることは明白なので、これらを保護するシールやカバーをとりつけます)

 

以上のような修繕作業が必要なら、最初から仕上げのできているものを買えば良い、ということになりそうですが、国産の車載用トレーラーは、船賃がかかっていないのにも関わらずアメリカ製よりもうんと高いのです。同じ積載量なら価格は二倍くらいになります。なぜかといえば、工業製品として商品化されていて、大量生産ができているアメリカと、ほとんどワンオフで勝負している日本の差です。道路事情の違い、環境の違いから、販売数がまるで違うために、同じ条件下で製造されていないのです。だから比較してもダメです。・・・でも、ユーザーの使い道は同じなので、価格と品質と雰囲気と耐久性と・・・ いろいろな要素をよく考えて、満足できる方を選ぶしかありません。

僕は自分で手直しをする覚悟で、その分を加味しても割安であるために、アメリカ製のゴツくて雑なものを選んだのです。僕が仕上げたこの車両を、いつか中古で(きっと新車よりもずっと良い状態で)購入する人は、とてもお得と思います!