トレーラーの電磁ブレーキ(解説)
電磁ブレーキ(電気ブレーキ)のこと。
アメリカのトレーラーは、ブレーキが優れています。たとえ走行中でも効き目を細かく制御できるようになっています。空荷のときと、とても重いものを積んだ時とで設定を変えることもできますし、トレーラー側だけにブレーキをかけることもできます。バックの時でもブレーキがかかります。その制御をどのようにしているのか? 理解できないとキモチ悪い、という人もいるでしょうから、細かく、わかりやすく、記録しておきたいと思います。
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<アメリカ車の配線>
アメリカ車で、牽引装置が備わっているクルマの場合、7極のコネクタの中の、アース線の隣は電磁ブレーキの配線です。(クルマ側の線をチェックできるなら、アース線は白、電磁ブレーキのラインはブルーです。残りはウインカー左右&ストップランプ兼用、車幅灯、12V常時、AUXという、日本とはずいぶん違う構成)
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<ブルーの電線>
この電磁ブレーキ用のブルーのラインの行き先は、トレーラー方向はドラムブレーキの中に備わっているユニットです。クルマ方向は、ブレーキコントローラーです。(もちろん、どちらも装着車のみです。これから装着する場合はこのような構図になるように装着しなければなりません)
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<電磁ブレーキが効く仕組み>
牽引車の車内に装備された電磁ブレーキコントローラーは、クルマのバッテリーからプラスの電力をもらい、アースによってマイナスを確保して、必要時にスタンバイ状態になります。(バッテリーあがりを防ぐため、いつでもスタンバイというわけではないです)
フットブレーキが踏まれたことを感知するための信号線が導かれています。
そしてこのコントローラーから出てくるブルーのラインは、電磁ブレーキ付きのトレーラーを接続した場合にのみ、トレーラーのドラムブレーキの中のユニットにプラスを送ります。その電圧は、運転者が手動で設定した強さに従って、電磁ブレーキコントローラーの中のある振り子センサからの信号により可変します。
この結果、ブルーのラインを経由してドラムブレーキの中に送られた電圧の強弱によって、トレーラー側のブレーキのオンオフのみならず、強弱までもがコントロールされるのです。
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<電磁ブレージの強弱設定>
電磁ブレーキコントローラーの調節ボタンによって効き目が強い設定にすれば、牽引車が逆にトレーラーから引っ張られるような挙動にもなります。もちろん、効き目を弱くすることもできます。コントローラーが高性能なものであって、そして手動による強弱の設定が適切あれば、トレーラー側のブレーキの効き目はドライバーの意図する通りとなって、牽引していることを意識せずに済むレベル、つまり、牽引車単体でドライブしているときとほとんど同じようなブレーキ感覚になります。
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<電磁ブレーキのテスト方法>
トレーラー側の電磁ブレーキが正常に動くかどうかは、適切な配線に直接12Vを繋いでみればわかります。トレーラーをジャッキアップしてタイヤを空転させておき、12Vを直結させると、正常であればすぐにタイヤは停止します。ただし、この方法ではブレーキのオンオフのみの確認で、ブレーキのかかり具合の確認はできません。
牽引車側の電磁ブレーキコントローラーがきちんと導通していて、オンオフができるかどうかも、テスターで簡単に判定できますが、強弱についても正常かどうかは、実際にトレーラーを連結してブレーキングをしてみないと確認できません。
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・・・もしも、トレーラー側の電気ブレーキが効きすぎると感じたら・・・
車内のブレーキコントローラーを最弱にしても、ブレーキを踏む度に、ガツンという振動や音があって、そしてホイールがロックするような挙動があれば、配線の間違いを疑います。このような場合はおそらく、ストップランプ用の配線が繋がってしまっているのだと思います。間違いの箇所はトレーラーのコネクタの中の配線や、クルマ側のカプラーの配線、あるいはトレーラー側での引き回しの途中にもあるかもしれません。(万一、アメ車純正そのままで、常時12Vがカットされておらず、そこにトレーラー側のブレーキへの配線を繋げば、ブレーキは当然のこととしてオンのままになりますし、車幅灯のラインを繋げば車幅灯をオンにするとブレーキがかかります。いずれも、強弱調整は不可能です)
・・・なぜ、配線の間違いの可能性があるのか?・・・
第一に、コネクタにつながる配線の色分けが一定でありません。(車種や年代、トレーラーによって、たとえばスモールランプ用の線が茶色だったり、緑だったりします)
第二に、アメリカ仕様の配線のままでは日本では使い物にならないために、クルマ側の配線がいじられている可能性があります。(予備検査のとき、あるいは前オーナーがトレーラーを牽引していた場合。または、アメリカ国内でカスタマイズされている可能性もあります)
第三に、同じ理由でトレーラー側の配線がいじられている可能性があります。
第四に、そのいじり方が一定でなく、常時電源用のラインを殺してそれをストップランプ用の配線にしていたり、電気ブレーキ用にしていたりします。(コネクタ中心の配線をバックランプ用にあてがうのは日本では一般的)
第五に、コネクタを組み立てるときに(コネクタの内部で)上下の向きを間違えている場合があります。(間違ったままでは組み立てが難しい構造になっていますが、それでも)
第六に、コネクタの内部でいくつもの配線をしているために、隣の配線と接触していたり、ある配線が緩んでいたり、端子に損傷があったりします。(意図的に一部配線を殺してあったり、共締めされていることもあります。アメリカ仕様そのままの牽引車と接続されて、常時12Vが入力される可能性を排除するために、トレーラー側のコネクタ内でその配線を接続しないようにまとめている場合があります)
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・・・電気ブレーキの作動が良好である場合の挙動参考例・・・
1、レベルをゼロにしておけば、ブレーキの効き目を感じません。これは、車庫入れのようなシーンでわかります。何の抵抗もなく、単にトレーラーの重さをクルマの挙動で感じるだけです。
2、レベルを10にすると、ブレーキをかけるたびにトレーラから引っ張られるように感じます。場合によってはトレーラー側のホイールがロックするかもしれません。
3、レベルを5にすると、渋滞のノロノロのような場面で、ブレーキをかけたとき、停車前と発進時にガツッと短く抵抗を感じます。負荷が小さいときに軽くホイールがロックするためです。しかしながら、ブレーキをかけるときにはレベル10よりはかなりマイルドなので、後ろから引っ張られるとは感じないかもしれません。(実際にはやや引っ張られているはず)
4、レベル3の状態で、渋滞のノロノロのような場面で、ブレーキコントローラーの手動スイッチのみを操作してみます(フットブレーキは踏まない)。そうすると、なんとなく減速する感じがわかります。
5、レベル5の状態で、渋滞のノロノロのような場面で、ブレーキコントローラーの手動スイッチのみを操作してみます(フットブレーキは踏まない)。そうすると、確実に減速する様子がわかります。あるいは、停車までの減速ができるかもしれません。
6、レベル10の状態で、渋滞のノロノロのような場面で、ブレーキコントローラーの手動スイッチのみを操作してみます(フットブレーキは踏まない)。そうすると、トレーラー側に完全に引っ張られるようにして停車するか、あるいはトレーラー側のタイヤがロックして音をたてます。