Industnatural(インダストナチュラル)

「インダストリアル」と「ナチュラル」のハイブリッドライフを提案&実践中

ピカピカなのに、スクラップ

せめて、必要としている地域に送ってあげたい・・・

 

せめて、モノとしての価値を認めてあげたい・・・

 

せめて、パーツだけでも・・・

 

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解体待ちのクルマが並ぶ、その片隅でひときわ輝きを放つ異様なクルマ。

 

その正式名称は、『資機材搬送車』だそうです。

消防団がいろいろな装備品を運ぶための車両。

屋内保管、ワンオーナー、事故歴なし、修復歴なし、走行距離5000キロ。

 

官公庁オークションで、20年前のランクル消防車(シャシー単体は新車時約200万円)が販売価格よりも高い値段(250万円前後)で落札されている2022年、その理由は特殊なものだとしても、このダイナ(もしくはハイエース)トラックがスクラップ行きとはあまりに勿体無い。

 

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消防団が廃棄する理由は、次の車両を与えられたから。

市が与える理由は、耐用年数を過ぎたから。交換部品がなくなっている(はず)だから。

 

ちょっと待てよと、誰も言えないのでしょうか?

 

仮に25年で入れ替えとすると、25年前のそのまた25年前は50年も前なので、前回の車両は1972年製。さすがに古い。1997年のトラックは眩しかったことでしょう。しかし1997年のトラックと現在のトラックの間にはそこまで強烈な差がない。排ガス規制や燃費の問題はあっても、耐久性では今より勝るというのがトラックを知る人たちの声。

 

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ここからは想像・・・ 車両入れ替えの主導者は、消防団の上位組織である消防署であり、さらにそのまた上位組織である市の総務部の資材調達課。この車両については25年で車両の入れ替え時期になることはマニュアル化&プログラク化されている。その場に居合わせた担当者にしてみれば、勤続30年でも一度あるかないかの機会! というような重たいことではまったくなくて、同課においては、日々、いろいろなものの廃棄と新規調達に立ち会っている。個人的に欲しい、使いたいと思うものがあっても手出しはできない。古い紙幣が段ボールの芯になるとの同じように、価値あるモノが切り刻まれてもどうしようもないのでいちいち気に留めない。

 

このトラックを大切にしてきた消防団員の中には寂しいと感じていたり、自分が使いたいと感じている人がいるかもしれないけれど、彼らもインサイダーなので引き取ることが許されない。

 

官公庁オークションは良い仕組みだけれど、対応が面倒だし、まさか100万円とかにはなりそうにないから、解体屋に10万円で売れればオーケー。

 

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このトラックは、後部にポンプが付いていたりしない、ただのトラックなので、色さえ気にならなければそのままバリバリ働けるのですけれど、それでも、この撮影の直後、チョップされて、スクイーズされて、シュレッドされて、ぐちゃぐちゃです。10万円くらいの鉄になります。

 

クルマって、四つ足で、顔があるので動物みたいだな。どんな気持ちなのかな。・・・なんて思ってしまいました。

 

ステップさえピカピカだけどスクラップ・・・